
「うちの子、クレートを怖がって全然入ってくれない…」
「いざという時のために慣れさせたいけど、どうしたら良いのか分からない」など、愛犬のクレート嫌いに頭を悩ませている飼い主さんもいるでしょう。
正しい方法でトレーニングを行えば、クレートを愛犬にとって安心できる特別な場所に変えていくことが可能です。
この記事では、愛犬がクレートに慣れることを願う飼い主の方に向けて、
- なぜ犬はクレートを嫌がってしまうのか
- 初心者でもできる簡単なトレーニング手順
- トレーニングを成功に導くための大切なコツ
上記について、解説しています。
焦る必要は全くありません。
愛犬の気持ちに寄り添いながら、少しずつ進めていくことが何よりも大切。
この記事を読めば、愛犬が自らクレートに入り、リラックスできる空間に変えるヒントが見つかるはずです。
ぜひ参考にしてください。
クレートトレーニングの基本とは

クレートトレーニングは、愛犬を無理に閉じ込めるためのしつけではありません。
本来は、愛犬にとって「安全で落ち着ける自分だけの特別な空間」だと教えてあげる、愛情のこもったトレーニングなのです。
怖がったり嫌がったりしないように、ワンちゃんが自ら喜んで入ってくれる状態を目指すことが基本になります。
なぜなら、犬はもともと狭くて暗い場所を巣穴と認識し、安心する習性を持っているからです。
自分だけのテリトリーがあることで、精神的にリラックスしやすくなります。
留守番中や来客時、また災害時のような非日常的な状況でも、クレートがあれば愛犬が落ち着いて過ごせる避難場所になるでしょう。
このように、クレートトレーニングは愛犬と飼い主の双方にとって多くのメリットをもたらしてくれます。
成功の秘訣は、正しい手順で焦らずに少しずつ慣らしていくことです。
以下で、具体的なトレーニング方法を詳しく解説していきます。
クレートトレーニングの目的
クレートトレーニングの最大の目的は、犬にとって心から安心できる「自分だけの巣穴」を作ってあげることにあります。
罰を与えるための場所ではなく、犬が自ら進んで入る安全な空間を確保するという意識が大切です。
具体的なメリットとして、まず災害時の安全確保が挙げられるでしょう。
環境省が推奨する同行避難では、クレートに入ることが必須条件となるケースが少なくありません。
愛犬の命を守る重要な備えになるのです。
また、車での移動や動物病院への通院時も、クレートに慣れていれば犬の興奮やストレスを大きく和らげることが可能。
さらに、来客時に落ち着かせたり、留守番中のいたずらを防いだりするのにも役立ちます。
このように、日常生活の様々な場面で役立つため、トレーニングを行う価値は非常に高いといえるでしょう。
クレート選びのポイント
愛犬にぴったりのクレート選びは、快適な居場所作りの第一歩となるでしょう。
まず最も重要なのがサイズ感で、中でクルっと方向転換でき、伏せた状態で頭がつかえない程度の空間が理想的です。
例えば柴犬なら、幅40cm×奥行60cm程度が目安になります。
広すぎると逆に落ち着かず、トイレの失敗にも繋がるため注意が必要なのです。
素材は用途に応じて選びましょう。
持ち運びが多いなら、リッチェル社製の「キャンピングキャリー」に代表される軽量なプラスチック製が便利でしょう。
一方、室内でのハウスとして使うなら、丈夫で通気性の良いアイリスオーヤマ社製のワイヤータイプも選択肢に入ります。
扉のロックが頑丈か、パーツを分解して掃除しやすいかといった安全性や機能面の確認も欠かせません。
特に飛行機での移動を考えるなら、IATA(国際航空運送協会)の安全基準を満たした製品を選ぶようにしてください。
犬がクレートに入ることのメリット

愛犬にとってクレートは、罰を与える場所ではなく、安心してくつろげる自分だけの特別な空間になるものです。
「狭い場所に閉じ込めるのはかわいそう」と感じる方もいるかもしれませんが、正しくトレーニングすれば、愛犬の安全を守り、心の安定にもつながる非常に便利なアイテムとなります。
その理由は、犬の祖先が巣穴で暮らしていたという習性にあるでしょう。
彼らにとって狭くて少し暗い空間は、外敵から身を守れる安全な場所であり、本能的に落ち着けるのです。
あなたにとっての書斎や寝室のように、愛犬にも誰にも邪魔されないプライベートな空間を用意してあげることは、大きな安心感を与えます。
具体的には、災害時に避難所で過ごす場合や、車での長距離移動、動物病院での待機時間など、さまざまな場面でそのメリットを実感するでしょう。
また、犬が苦手な来客があった際にも、クレートが安全な待機場所となり、お互いのストレスを軽減できるのです。
このように、クレートは愛犬とあなたの暮らしをより豊かで安全なものにしてくれます。
安心できる居場所の提供
犬の祖先であるオオカミは、狭い巣穴で安心して休息をとる習性があります。
この本能は現代の犬にも受け継がれており、クレートは愛犬にとって安全な自分だけのパーソナルスペースとなり得るのです。
無理に入れるのではなく、中にお気に入りのおもちゃや飼い主の匂いがついたタオルを置き、自由に出入りできる環境を整えてあげましょう。
クレートの中でおやつを与えるなど、ポジティブな経験を重ねることで「ここは安心できる楽しい場所」と犬が自ら学習していきます。
このように慣らしておくことで、災害時の避難や動物病院、ペットホテルに預ける際も、犬は過度なストレスを感じずに過ごせるようになります。
クレートは単なる檻ではなく、愛犬の心の拠り所となる大切な場所だと理解してください。
移動時のストレス軽減
車や電車、飛行機などでの移動は、犬にとって大きなストレスとなり得ます。
慣れない揺れや音、見知らぬ人々の存在は、愛犬の心身に想像以上の負担をかけるでしょう。
そんな時、クレートは外部の刺激から愛犬を守る「安全な個室」としての役割を果たしてくれるのです。
例えば、JR各社では手回り品として持ち込めるペットケースのサイズに規定があり、これに準じたクレートであれば公共交通機関での移動も可能になります。
クレート内で過ごすことに慣れていれば、移動中の不安が和らぎ、動物病院の待合室や旅先の慣れない環境でも落ち着いて過ごせる場所を確保できるという大きなメリットがあるでしょう。
急ブレーキなど、万が一の際の怪我防止にも繋がるため、愛犬の安全を守るためにもクレートは不可欠なアイテムと言えます。
クレートに入る習慣をつけるステップ

愛犬がクレートに入る習慣を身につけるには、焦らず段階を踏んでトレーニングを進めることが成功への一番の近道です。
クレートを罰を与える場所ではなく、「自分だけの安心できる居場所」だと愛犬に教えてあげましょう。
なぜなら、無理やりクレートに押し込めてしまうと、愛犬は「怖い場所」「嫌な場所」と強く認識してしまうからです。
一度ネガティブな印象が付いてしまうと、その警戒心を解くには大変な時間と労力が必要になります。
愛犬が自らの意思で喜んでクレートに入るようになるためには、ポジティブな経験を一つひとつ積み重ねていくことが何よりも重要なのです。
具体的には、おやつを使ってクレートに慣れさせる初歩的なステップから、扉を閉めても落ち着いて過ごせるようにする応用ステップまで、順を追って進めていきます。
以下で、誰でも簡単に実践できる具体的なトレーニング方法を詳しく解説していきます。
初めてのクレート体験
愛犬にとって初めてのクレート体験は、その後の生活の質を左右する重要なステップになります。
恐怖心を与えないよう、無理やり中へ押し込むのは絶対に避けてください。
まずは扉を開けた状態でリビングなどに置き、クレートが安全な場所だと認識してもらいましょう。
犬が警戒しているうちは、無理強いせず存在に慣れさせることが大切です。
次にお気に入りのおもちゃや、特別なおやつをクレートの奥に置いて、犬が自ら興味を持つように仕向けます。
もし自分から中に入ったら、たくさん褒めてあげることが成功の秘訣。
「ハウス」といった短い言葉でコマンドを教え始めると、今後のトレーニングがよりスムーズに進むでしょう。
「クレートは良いことがある場所」と学習させ、最初は数秒からでも中で落ち着いて過ごせる時間を少しずつ延ばしていくのが理想的な進め方です。
おやつを使った誘導法
愛犬がクレートにすんなり入るよう、おやつを使って誘導する方法は非常に有効な手段といえます。
まずはクレートが安心できる楽しい場所だと教えてあげましょう。
扉を開けた状態で、クレートの近くでおやつをあげることから始めてみてください。
犬が抵抗なく近づけるようになったら、次におやつをクレートの中にそっと投げてみませんか。
愛犬が自発的に中へ入っておやつを食べた瞬間、「ハウス」のような指示語を加え、「よしよし、いい子だね!」とたくさん褒めてあげることが重要です。
このトレーニングを1日2~3回、1回あたり5分程度の短い時間で繰り返すと、犬はクレートに良い印象を持つようになります。
普段あまり与えない特別なボーロや犬用チーズ、少量のアキレスなどを使うと、犬の意欲はさらに高まるでしょう。
決して無理強いせず、犬自身の意志で入るのを根気強く待つのが成功への近道なのです。
徐々に時間を延ばす方法
愛犬がクレートの扉を閉めることに慣れたら、次は滞在時間を少しずつ延ばしていく段階へ進みましょう。
まずは扉を閉めて5秒間待つことから始めて、できたらすぐに褒めて外に出してあげます。
この短い成功体験を繰り返すことが大切なのです。
犬が落ち着いていられるようなら、次は10秒、30秒、1分と、愛犬のペースに合わせて時間を延ばしていくのが成功のコツ。
このトレーニング中は、特別なご褒美として普段は与えない犬用のチーズやボーロを用意するのも有効な手段でしょう。
もし途中で吠えたり不安がったりする素振りを見せた場合は、決して無理強いせず、一つ前の短い時間に戻してください。
焦らずに「クレートの中は安全で落ち着ける場所」だと教えてあげることが、最終的な目標への一番の近道となります。
クレートトレーニングの注意点

クレートトレーニングを成功させるためには、愛犬に「クレートは罰を受ける場所ではない」と理解させることが何よりも重要です。
飼い主の焦りは禁物であり、愛犬のペースに合わせて、ここが安心できる特別な場所だと教えてあげましょう。
なぜなら、犬は一度でもクレートに対して「閉じ込められる怖い場所」というネガティブな印象を持ってしまうと、警戒心を強めて二度と入らなくなってしまう可能性があるからです。
無理強いはトレーニングを困難にするだけでなく、愛犬との信頼関係を損なうことにもなりかねません。
例えば、言うことを聞かない罰としてクレートに閉じ込めたり、いきなり長時間中に入れたりする行為は絶対に避けるべきです。
最初のうちは扉を開けたままにし、中でおやつをあげたり、お気に入りのおもちゃで遊ばせたりして、クレートにポジティブなイメージを持たせることが大切になります。
無理な強制は避ける
愛犬がクレートに入るのを嫌がるからといって、無理やり中に押し込むのは絶対にやめましょう。
お尻を押したり、リードで強引に引きずり込んだりする行為は、犬にとって大きな恐怖体験となるだけです。
このような経験を一度でもさせてしまうと、犬はクレートを「罰を受けるための嫌な場所」と強く認識してしまい、その後ますます入ることを拒絶するようになってしまうでしょう。
本来、犬は巣穴のような狭くて暗い空間を好む習性を持っています。
この習性を利用し、クレートが「誰にも邪魔されない安全な避難場所」だと犬自身に学習させることが何よりも大切です。
強制するのではなく、おやつやおもちゃを使いながら、犬が自らの意思で「クレートは楽しい場所だ」と感じられるように、ポジティブな印象を根気強く与えていく必要があります。
適切なタイミングでの休憩
ハウストレーニングの一環であるクレートトレーニングでは、適切な休憩が成功の鍵を握ります。
犬が集中できる時間は非常に短く、特に好奇心旺盛な子犬なら5分、落ち着いた成犬でも15分程度が限界と考えてください。
長時間の練習は犬にストレスを与え、クレートを「嫌な場所」と認識させてしまう原因となります。
大切なのは、愛犬が飽きたり嫌がる素振りを見せる前に、飼い主側からトレーニングを切り上げること。
例えば、おやつで誘導して前足を入れることに成功したら、そこで「よくできたね」と褒めてその日はおしまいにする、といった具合でしょう。
少し物足りないくらいで終えることで、「もっとやりたい」「クレートは楽しい場所」という良い印象が残り、次への意欲につながるのです。
焦らず、愛犬の小さな成功を積み重ねていく姿勢が何より重要となります。
犬のクレートに関するQ&A

クレートトレーニングを進める中で「これで本当に合っているのかな?」と疑問や不安を感じることは、決して珍しいことではありません。
ここでは、多くの飼い主さんが抱えがちなクレートに関するよくある質問にお答えします。
愛犬を大切に思うからこそ、「狭い場所に閉じ込めるのはかわいそうではないか」「嫌がっているのに無理強いして良いのか」といった様々な悩みが出てくるのでしょう。
しかし、正しい知識を持てば、その不安は解消され、クレートは愛犬にとって最高の場所になります。
例えば、「クレートに入れると鳴き続けてしまう」というお悩み。
これは、クレートがまだ安心できる場所だと認識できていない証拠です。
まずは扉を開けたままおやつをあげることから始め、滞在時間を数秒から徐々に延ばしていく練習が効果的です。
また、「お留守番の時だけ使うのは問題ないか」という質問もありますが、日常的に慣れていない場所で長時間過ごすのは犬にとって大きなストレスです。
普段から自由に出入りできる安心な休憩場所として認識させておくことが大切でしょう。
クレートが嫌いな犬への対処法
愛犬がクレートを嫌がる場合、無理強いは禁物であり、安心できる場所だと認識させることが重要になります。
まずはクレートの扉を開けたままにし、中におやつや「KONG(コング)」のような知育トイを置いて、犬が自発的に入るのを待ちましょう。
クレートに入ったら褒めることを繰り返し、「クレート=良いことがある場所」という印象を持たせるのが第一歩です。
次に、短い時間から扉を閉める練習を始めませんか。
最初は5秒程度からスタートし、静かにできたら褒めて外に出してあげてください。
この滞在時間を10秒、30秒と少しずつ延ばしていくのが成功の秘訣でしょう。
罰としてクレートを使用すると恐怖心が根付いてしまうため、絶対に避けるべきです。
飼い主さんの匂いがついたタオルなどを入れてあげると、犬はよりリラックスしやすくなります。
焦らず、数週間から1ヶ月ほどの期間をかけてじっくりと取り組む姿勢が大切だといえます。
クレートトレーニングは何歳から始めるべき?
クレートトレーニングを始める理想的なタイミングは、子犬を家に迎えたその日となります。
特に、社会化期にあたる生後2ヶ月から4ヶ月頃までの期間は、新しい物事への順応性が非常に高いため、この時期の開始が推奨されるのです。
早い段階で「クレートは安心できる自分の寝床」と認識させることで、その後のしつけや災害時の避難もスムーズになるでしょう。
もちろん、成犬からでもトレーニングを始めるのに遅すぎることはありません。
成犬や保護犬の場合、過去の経験から警戒心が強いことも考えられますが、根気強く続ければ必ず慣れてくれます。
焦らず、おやつや好きなおもちゃを活用し、その子のペースに合わせて「楽しい場所」だと教えてあげることが成功への何よりの近道です。
まとめ:愛犬が安心できるクレートしつけの第一歩

今回は、愛犬のクレートトレーニングにお悩みの方へ向けて、
- クレートを好きになってもらうための準備
- 慣れさせるための具体的なトレーニング手順
- しつけを行う上での大切な心構え
上記について、解説してきました。
クレートは罰を与える場所ではなく、愛犬が心から安心できる自分だけの空間なのです。
そのためには、焦らずに一歩ずつ信頼関係を築いていく過程が何よりも重要です。
なかなか入ってくれず、どうすれば良いか途方に暮れている方もいるでしょう。
まずは「クレートは楽しい場所」だと愛犬に教えてあげることから始めてみませんか。
これまで愛犬を想い、しつけに費やしてきた時間は決して無駄ではありません。
その優しい気持ちこそが、何よりの土台となります。
いつか愛犬が自らクレートに入ってリラックスする、そんな日がきっと訪れるはずです。
この記事でご紹介した方法を参考に、今日からできることから試してみてください。
飼い主と愛犬のペースで、楽しくトレーニングを進めていくことを筆者は心から応援しています。