
愛犬が散歩中に何かをパクリと口にしてしまう瞬間、ヒヤッとしますよね。
「体に悪いものを食べちゃったけど大丈夫かな…」と心配になったり、「無理やり口から出させようとして嫌われたらどうしよう…」と不安に感じたりする飼い主さんもいるでしょう。
愛犬の健康と安全を守るためにも、万が一の時に落ち着いて対処できる知識を身につけておきませんか。
この記事では、愛犬の拾い食いに頭を悩ませている飼い主さんにむけて、
- なぜ犬は拾い食いをしてしまうのか
- 口にしたものを安全に出させる「出して」の教え方
- 拾い食いを未然に防ぐための効果的な予防策
上記について、解説しています。
拾い食いの癖は根気が必要なトレーニングですが、正しい知識があれば改善できます。
この記事で紹介する方法を実践し、愛犬との散歩をもっと安心で楽しい時間にしましょう。
ぜひ最後まで読んで、参考にしてください。
犬が拾い食いをする理由とは?

愛犬の拾い食いに、ヒヤリとした経験を持つ飼い主は少なくないでしょう。
実はこの行動、単なるいたずらや食いしん坊な性格だけが原因ではないのです。
拾い食いは、犬が本来持っている本能や習性からくる自然な行動の一つと言えます。
そのため、「うちの子はしつけができていない」と自分を責める必要は全くありません。
犬の祖先は、常に食べ物を探して生き抜いてきたため、落ちているものに興味を示し、口で確認する習性があります。
特に好奇心旺盛な子犬にとっては、道端の石や葉っぱも魅力的な探検の対象になるでしょう。
また、飼い主の気を引きたい、ストレスを感じている、あるいは特定の栄養素が不足しているといったサインである可能性も考えられます。
このように、拾い食いの裏には犬種や年齢、生活環境によって様々な理由が隠れているのです。
考えられる原因は「本能的な探求行動」「空腹や栄養不足」「退屈やストレス」など多岐にわたります。
以下で詳しく解説していきます。
犬が拾い食いをする心理
愛犬が道端に落ちているものを食べてしまう「拾い食い」は、飼い主にとって非常に悩ましい行動ではないでしょうか。
この行動の裏側には、犬ならではの心理や本能が深く関わっています。
犬の祖先は狩りをして食料を得ていたため、落ちているものを食べ物かもしれないと判断し、まず口に入れて確かめる習性が備わっているのです。
特に好奇心旺盛な子犬期には、それが何であるかを確かめるための探求行動としてよく見られます。
過去に美味しいものを拾って食べた経験は強烈な成功体験となり、行動を強化させる一因にもなるでしょう。
さらに、飼い主が慌てて注目することで「これをすると構ってもらえる」と学習し、気を引くために行うケースも少なくありません。
単なる食い意地だけでなく、空腹や退屈、特定の栄養素が不足しているサインの可能性も考えてみましょう。
拾い食いがもたらすリスク
散歩中の拾い食いは、愛犬の命を脅かす深刻な危険をはらんでいます。
例えば、道端に落ちているタバコの吸い殻には、小型犬ならわずか1本で致死量に達するニコチンが含まれている可能性があり、大変危険です。
また、人間には無害な食べ物でも、犬には猛毒となるものが存在します。
代表的な例がキシリトールで、ごく少量でも重篤な低血糖や急性肝不全を引き起こすことがあるため、最大限の注意が必要でしょう。
チョコレートに含まれるテオブロミンや、ネギ類も深刻な中毒症状の原因となり得ます。
物理的な危険も見過ごせません。
焼き鳥の串や鳥の骨などが喉や消化管に突き刺されば、緊急の開腹手術が必要になるケースも決して珍しくないのです。
腐敗した食べ物による食中毒や、他の動物の糞からの寄生虫感染リスクも考えられます。
愛犬の拾い食いは、決して軽視できない重大な問題だと理解してください。
拾い食いが犬に与える影響

拾い食いは、愛犬の命に直結しかねない非常に危険な行為です。
ほんの少し口にしたものが、取り返しのつかない事態を引き起こす可能性があることをご存知でしょうか。
愛犬の健康と安全を守るため、まずは拾い食いに潜む具体的なリスクを正しく理解することが大切になります。
なぜなら、私たちの身の回りには犬にとって有害なものが数多く存在するからです。
飼い主さんが気づかないうちに、毒性のある植物や化学物質、腐敗した食べ物などを口にしてしまう危険が常にあります。
「うちの子に限って」と思っていても、好奇心旺盛な犬にとって、道端のものは魅力的な誘惑に見えてしまうのかもしれません。
例えば、タバコの吸い殻を誤飲すればニコチン中毒に、人間の食べ物である玉ねぎやチョコレートは深刻な中毒症状を引き起こす原因となります。
具体的には、焼き鳥の串や鳥の骨などを飲み込んでしまい、消化管を傷つけて緊急手術に至るケースも少なくありません。
このように、拾い食いは単なる困った癖ではなく、命を脅かす重大な問題なのです。
健康への影響と危険性
犬の拾い食いは、時として命に関わる重大な事故に繋がる可能性があります。
道端に落ちているタバコの吸い殻にはニコチンが含まれており、わずか1本でも誤飲すれば嘔吐や痙攣といった急性ニコチン中毒を引き起こす危険があるでしょう。
また、チョコレートに含まれるテオブロミンも犬には有毒で、少量でも中毒症状が現れることがあります。
腐敗した食べ物による食中毒や、他の動物の糞からの寄生虫感染も無視できません。
さらに、鶏の骨や焼き鳥の串、おもちゃの破片などを飲み込んでしまうと、食道や胃腸を傷つけたり、消化管閉塞を起こしたりするケースも少なくないのです。
消化管閉塞は開腹手術が必要となることも多く、愛犬に大きな負担をかけてしまいます。
こうした健康被害のリスクを理解し、拾い食いの危険性を軽視しないことが重要です。
犬の命に関わる危険物
散歩中の道端や室内には、犬の命に直接関わる危険なものが落ちている可能性があります。
例えば、タバコの吸い殻にはニコチンが残存し、犬の致死量は体重1kgあたり約9.2mgとされているため、小型犬なら1本で命を落とす危険すらあるでしょう。
嘔吐や痙攣といった中毒症状を引き起こします。
また、自動車の不凍液に含まれるエチレングリコールは甘い匂いで犬を誘いますが、急性腎不全の原因となり極めて危険です。
さらに、人間用の鎮痛剤やボタン電池の誤飲も命取りになりかねません。
特にボタン電池は、食道に詰まるとわずか1〜2時間で粘膜を損傷させ穴を開けてしまうこともあります。
殺鼠剤も同様に致死性が高い物質です。
万が一、これらを口にした場合は無理に出させようとせず、すぐに動物病院へ相談することが何より大切になります。
犬の拾い食いを防ぐための効果的なしつけ方法

愛犬の拾い食いをやめさせるには、頭ごなしに叱るのではなく、「出して」の合図で自ら口のものを差し出すように教えることが最も効果的です。
この方法は、危険なものを口にした際に安全に取り戻せるだけでなく、愛犬との信頼関係をより一層深める素晴らしい機会になります。
まずは、愛犬が安心してあなたに口の中のものを見せてくれる、そんな関係作りから始めましょう。
なぜなら、口の中のものを無理やり奪おうとすると、犬は大切なものを取られまいと焦り、急いで飲み込んでしまう危険性が高まるからです。
その結果、かえって危険な状況を招いたり、飼い主さんへの不信感から隠れて拾い食いをしたりする悪循環に陥ることも少なくありません。
「出してくれたら、もっと良いおやつがもらえる」と学習させることで、愛犬は拾ったものを隠すのではなく、むしろ喜んであなたに差し出すようになるのです。
この「出して」というポジティブなコマンドを教えるには、段階的なトレーニングが不可欠です。
具体的には、まずはおもちゃを使った「ちょうだい」の遊びから始め、徐々に価値の低い食べ物、そして価値の高い食べ物へとステップアップしていくトレーニング方法が推奨されます。
愛犬のペースに合わせた効果的なしつけの具体的なステップを、以下で詳しく解説していきます。
拾い食い防止の基本的なしつけ
愛犬が何かを口にしてしまった際、安全に取り出すために「出して」という合図を教えることは非常に重要です。
このトレーニングは、罰を与えるのではなく、楽しい交換ゲームとして行うのが成功の鍵となります。
まず、犬が好きなおもちゃを咥えさせ、「出して」と優しく声をかけながら、そのおもちゃよりも魅力的な特別なおやつ、例えば乾燥ささみなどを見せて交換を促してください。
犬がおもちゃを離したら、すぐにおやつを与えて、たくさん褒めてあげましょう。
この練習を1回あたり5分程度の短い時間で、遊びの延長として毎日繰り返すことが大切です。
無理やり口から物を取り出そうとすると、犬は慌てて飲み込んだり、飼い主から隠れて拾い食いをしたりするようになるため、絶対に避けるべき行動といえます。
「出して」の合図を教えるコツ
「出して」の合図を教えるには、叱って無理やり奪うのではなく「交換」のルールを理解させることが重要になります。
まずは同じおもちゃを2つ用意し、一つで遊んでいる最中に「出して」と声をかけながらもう一つを見せましょう。
口から離した瞬間に「えらいね!」と褒め、すぐにもう一つのおもちゃを与えてください。
この成功体験を1日数回、5分程度の短いトレーニングで積み重ねるのがコツです。
これにより「出して」は、取られる嫌な合図ではなく、もっと良いものがもらえる嬉しい合図だと学習するのです。
おもちゃへの執着が強い場合は、普段のフードより魅力的な、ゆでたささみや犬用チーズといった特別なおやつとの交換から始めると効果が高まるでしょう。
根気強く続けることで、危険な拾い食いを防ぐ信頼関係が築かれます。
日常生活でできる拾い食い防止策

愛犬の拾い食いを防ぐためには、日々の生活の中で少し意識を変えることがとても重要です。
特別なトレーニングだけでなく、普段の生活環境を整えることで、愛犬が危険なものを口にしてしまうリスクを大幅に減らせます。
なぜなら、犬は好奇心が旺盛な生き物であり、床に落ちているものに興味を持って口で確かめようとするのは自然な行動だからです。
そのため、飼い主が「拾い食いができてしまう環境」をなくし、愛犬が危険な誘惑に遭遇する機会を減らしてあげることが最も効果的な対策と言えるでしょう。
例えば、食事の時間はしっかりと管理し、人間の食べ物を安易に与えないようにすることが基本です。
具体的には、食べ物は犬の手が届かないカウンターの上や棚に保管し、ゴミ箱は必ず蓋付きのものを選びましょう。
また、散歩中にゴミが多い場所を避けて歩いたり、帰宅後には口周りをチェックしたりする習慣をつけることも、拾い食いを防ぐ上で非常に有効な対策となります。
屋外での拾い食い対策
屋外での拾い食いは、愛犬を中毒や消化器系の病気から守るために絶対に防ぎたい行動でしょう。
散歩の際は、焼き鳥の串やタバコの吸い殻などが落ちていそうな飲食店の周辺、また公園のベンチ付近を避けるルート選びが重要です。
リードは1.2mから1.8m程度の一般的なものを使い、犬が地面に鼻を近づけすぎないよう飼い主が手元で短く調整してください。
もし何かを口にしてしまった場合に備え、日頃から「出して」の練習をしておくことが有効な対策となります。
これは叱って無理やり取り上げるのではなく、より魅力的な特別なおやつと交換するトレーニングで、成功したら大いに褒めてあげましょう。
拾い食いの癖がどうしても治らない愛犬には、安全を確保するため、通気性が良く水を飲むこともできるバスケットマズルを装着するのも一つの選択肢といえます。
屋内での危険物管理
室内には、犬の拾い食いを誘発する危険なものが意外と多く存在します。
例えば、人間の食べ物であるチョコレートや玉ねぎ、キシリトール入りのガムは犬にとって猛毒になりうるため、テーブルの上などに放置しないことが肝心でしょう。
キッチンに置かれた蓋のないゴミ箱も、食べ物の匂いがするため犬の興味を強く引いてしまいます。
特に、甘い香りのする風邪薬シロップや鎮痛剤といった人間用の医薬品は、犬が誤って口にするケースが後を絶ちません。
これらは、愛犬の鼻先が届かない高さ1メートル以上の棚や、チャイルドロックを取り付けた戸棚へ確実に保管してください。
また、リモコンに入っているボタン電池や加熱式タバコのスティックなども、命に関わる重大な事故につながる恐れがあるもの。
日頃から整理整頓を徹底し、危険物を適切に管理することが、愛犬を拾い食いのリスクから守る最も確実な方法となります。
犬の拾い食いに関するよくある質問

愛犬の拾い食いに頭を悩ませる中で、「なぜ?」「どうしたらいいの?」といった疑問が次々と浮かんでくるのは、あなただけではありません。
実は、多くの飼い主さんが同じような疑問や不安を抱えています。
よくある質問とその背景を知ることで、漠然とした不安が解消され、具体的な対策への一歩を踏み出せるでしょう。
拾い食いは、愛犬の健康を直接脅かす危険な行動です。
だからこそ、「なんとかしなくては」という焦りから、様々な情報を探すうちに、かえって混乱してしまう方も少なくありません。
特に、一度危険なものを口にしてしまった経験があると、その不安はさらに大きくなるものです。
具体的には、「拾い食いをしやすい犬種や性格はあるの?」といった根本的な原因に関する質問や、「叱ってもやめないのはなぜ?」「一度飲み込んでしまったら、どうすればいい?」といった緊急時の対応に関するものが多く寄せられます。
また、「おやつを使わずに『出して』を教えることは可能?」という、しつけの方法に関する具体的な疑問も非常に多いです。
拾い食いを完全にやめさせることは可能か?
犬の拾い食いを完全にゼロにすることは、残念ながら極めて難しいでしょう。
犬が地面の匂いを嗅ぎ、興味を持った物を口に入れるのは、狩りをしていた頃の名残ともいえる本能的な行動だからです。
そのため、しつけだけで100%やめさせることには限界があります。
特に散歩道にはタバコの吸い殻やビニール片など、予測できない危険物が落ちている可能性は常に存在します。
そこで重要になるのが、拾い食いをさせないことだけに注力するのではなく、万が一の際に口から出させるトレーニングです。
「出して」や「ちょうだい」といったコマンドを教え、遊び感覚で練習を重ねておくことをおすすめします。
口にした物と飼い主が持つおやつを交換する練習を繰り返せば、愛犬はスムーズに物を差し出すよう学習するでしょう。
完璧を目指すよりも、こうしたリスク管理の視点を持ち、根気強く向き合うことが愛犬の安全を守ることにつながるのです。
犬が拾い食いをしてしまった場合の対処法
愛犬が何かを拾い食いした瞬間を目撃したら、まずは飼い主が冷静になることが何よりも大切です。
慌てて大声を出すと、犬は驚いて取られまいと急いで飲み込んでしまうかもしれません。
次に、何をどのくらい口にしたか可能な限り確認してください。
もしそれがチョコレートやキシリトールガム、人間の医薬品、あるいは道端のタバコの吸い殻といった命に関わる危険なものであれば、夜間であっても直ちに動物病院へ連絡しましょう。
まだ口の中に物があるのが見えるなら、「出して」や「ちょうだい」という練習済みのコマンドを使い、より魅力的なおやつと交換するように促してみてください。
この際、決して無理やり口をこじ開けようとしないでください。
犬を傷つけたり、信頼関係を損なう原因となります。
食べたものが不明な場合や、嘔吐やぐったりするなどの異変が見られたら、自己判断は禁物です。すぐにかかりつけ、もしくは地域の夜間救急動物病院へ電話で指示を仰ぐのが最善の選択でしょう。
まとめ:犬の拾い食い対策は焦らず着実に進めましょう

今回は、愛犬の拾い食いに頭を悩ませている方に向けて、
- 犬が拾い食いをする理由とその危険性
- 「出して」を楽しくマスターするためのコツ
- 拾い食いを未然に防ぐための環境づくり
上記について、解説してきました。
「出して」のトレーニングと拾い食いができない環境づくりは、愛犬の安全を守るための両輪と言えます。
この二つの対策を並行して進めることが、問題解決への一番の近道でした。
なかなか言うことを聞いてくれず、途方に暮れてしまう気持ちも、筆者は痛いほど理解できます。
しかし、ここで諦めてしまうのは非常にもったいないです。
まずは焦る気持ちを落ち着かせ、この記事で紹介した方法の中から、一つでも試せそうなことから始めてみましょう。
これまで愛犬を想い、悩みながら対策を講じてきたあなたの時間は、何一つ無駄ではありません。
その経験は、あなたと愛犬との絆の証です。
正しい方法で根気強くトレーニングを続ければ、愛犬はあなたの指示を理解してくれるようになります。
拾い食いの不安から解放され、心から散歩を楽しめる日は、きっと訪れるでしょう。
さあ、まずは遊び感覚で「出して」のトレーニングを始めてみてください。
筆者は、あなたの挑戦が実を結ぶことを心から応援しています。